ぎゅってして?


「俺もぎゅってしてもらいたいほど好きだったよ」


末村はぎゅってあたしを更に抱きしめる。

「…ってことで、アンタたちの役目は終わりでしょ」

不良たちは顔を真っ赤にしてこの場から立ち去った。

「…末村?」

あたしは顔をあげて末村を見上げる。

「……信夜。俺は信夜って呼んで欲しいの」

ブスッとして、頬を膨らませる信夜。

「そーだね。…ねぇ、信夜のこと教えてよ」

信夜はこの話になるとすぐに帰ってしまう。

「…俺、梨乃の一個下なんだ」

やっぱりか…。

なんとなく察してはいた。

あたしとだいぶ身長変わらないし…。

「…廊下歩いてる梨乃を観て…一目惚れだったんだ」

いつも命令口調なのに、年下と話した瞬間から、命令口調はどこへやら…笑

「好きになった…。馬鹿だな…って思ったよ。あの笑顔を独り占めしたい、梨乃の他の顔も観て観たい…そう思ったんだ…」

自嘲気味に笑う信夜。

あたしはこの時、信夜はずっとあたしを好きで居てくれてたんだって思った。
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