好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


何だか最近ため息をつくことが多くなった。

瀬戸のことが好きだと気づいてから、いろいろなことを気にするようになってしまった。


今日は何だか放課後に残る気にはなれない。

そう思って適当に理由をつけて教室を抜け出すあたし。

特に用事もないのに帰るなんてちょっと罪悪感を感じたけど、つぐみはほとんど出てくれてるから、とリホは快くOKしてくれた。

ため息をつきながら放課後だというのに賑わう廊下を一人でトボトボ歩く。


「つーぐーみーちゃん」


そんな浮かない気持ちを抱えたまま廊下を歩いていると、後ろから陽気な声で名前を呼ばれた。

すぐに誰か分かってあたしは慌てて振り返る。

すると、瀬戸がヒラヒラと軽く手を振りながら立っていた。


「せ、瀬戸……」

「やっほー。
どうしたの?そんな辛気臭い顔して」


瀬戸が近づいてきてあたしの顔を覗き込む。

ちょっとだけ距離が近くて胸が騒ぎ始めたので、そっと視線をそらす。


「な……何でもない」


ウソ。

本当は気になってる。

結衣とのこと。

どうなったの?って聞きたい。

けど……聞けないあたしは意気地なし。


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