他校生の君に贈りたい言葉。

贈りたい言葉。男子校No.1のイケメン。


あの時から永光空流と同じ車両。

あたしは完全に空流を空気同然に扱っている。

それでもめげないのは、褒めてもいいくらいだ。

駅を出ると、バスから降りてくる女の子。

「雪希(ゆき)っ!」

「あ、有空だ」

ちょっと姉御肌な雪希。

美人で、でもそれを自慢する訳でも無く…。

「有空はまだ変なのに付けられてないよね?」

心配そうに、あたしに視線をぶつける。

2人で学校に向かって歩き出す。

「うーん?…されてるまでは行かないけど…」

あたしは空流を頭に思い浮かべる。

確かに、ストーカーまでは行かないけど、何かと…ね?

「思い当たる節でもあるの?」

「うーん…?」

少し考え込む。

「あのね?話しかけてくる…と言うか、何と言うか…」

「名前とかはっ?」

深刻そうに質問を投げかけてくれる。

「名前はね…長月…あれ?…何だっけ?下はね、空流だよ」

苗字何だったっけ?

なが…が付いてたのはたしかだけど…。

「…えっ?空流って、永光じゃないっ!?」

興奮気味の雪希。

「あぁー、確かにそんな感じだった」

「隣の男子校のNo.1のイケメンでしょ?」

「…へー?そーなんだ」

空流って人気なんだー。

知らなかったなぁ?

「…有空、興味無しな訳っ?」

雪希はあたしを見てため息を吐く。

「えー?うん」

続けて

「逆に嫌い」

と言った。

正直嫌い。

すっごく俺様だし…。

イケメンだし、カッコいいのも分かる。

でも性格駄目じゃ、全て駄目じゃん?

そー思わない?

「男子校イケメンだらけだけど、その中でも更にイケメンなんだって!」

「ねぇー、雪希?…どうしてそんなに詳しいの?」

あたしは首を傾げる。

「彼氏居るじゃん?」

それは知ってるよ?

自慢してたもんね。

イケメンなんだっけ?

「それそれ!…男子校なんだよね!」

「へー…ってはぁっ!?あの男子校なの?」
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