紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「………ッ」
空を見上げていると、ふと視界に入った物に目がいく。
あ、これは使えるかもしれない---
それは校門前から学園校舎へと続いている、アーケードの屋根。
そこに戸惑う事なく、飛び移った。
トンッ---
エメラルド色のアーケードの上に飛び乗った私はその後、下を除き見る、
そこにはハァハァと息を切らせながら、やっと私の下までたどり着いた次郎丸率いる私の親衛隊。
二十人程の男達が私を見上げていた。
むさ苦しいなぁ---
追いかけてきたその男達をあらためてそう思ったけど無論、口には出さない。
「綾香様ー、降りてきて下さいよー!」
「えっ、やだ」
即答した私の答えに、次郎丸は悲しそうに眉を下げる。
そんな次郎丸に少しばかり胸が痛んだけど、でもやっぱりこんなむさ苦しい男達の中にはいたくはない。
それにしても…、と思った。
顔を隠していた前髪をバッサリ切って眼鏡を取っただけで、どうして私に親衛隊なんてものが出来たんだろうか?
こう毎日、追いかけられるのも面倒だし、いい加減何とかなんないかな?
うんざりしていたところで、頭上から窓の開く音が聞こえてきた。