紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~


「………い…ない」



そんなばかな?



たった今、私の横を通り過ぎたばかりじゃない。


それなのにもう姿が見えないなんて、そんなの人間業じゃない。





一条製薬から出てきたところを見た事があると言っていた、蓮の言葉を思い出した。




もしかして京極さんは---




そして…、


京極さんの香りなんて嗅いだ事なんてあるはずないのに、凄く気になったのは一体どうしてなんだろう?




妙に心地よく感じる、京極さんのにおい…。



飛翔を撫でながら、ただジッと暗闇に続く道を見ていた。






いつしかその香りは、暗闇の中へと溶け込んでいく。



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