STORMILY
呆然とする私をかき抱いたまま、何故か先生は耳元で謝罪した。


「先に謝っとく」


そしてゆっくりと顔を移動させ、視線を合わせて来る。


髪はすっかり乱れきり、目は真っ赤に充血、頬は涙でびしょ濡れで、先生はなかなか悲惨な形相になっていた。


でも。


「今の今まで、そんなつもりはまったくなかったんだけどな」


それでも、先生はため息が出るほど美しかった。


「卒業してから、じっくり、歩み寄るつもりだったんだけど…」


それが内面から滲み出ているものだという事を、私は今さらながらに認識する。


「とんでもないハレンチ教師だな、俺」


「……え?」


自分の世界に入り込んでいた私は、先生の話の半分も聞いちゃいなかった。


だから、自嘲気味な笑みを浮かべた後、乱れて頬にかかった私の髪を右手で優しく払い、そのまま頭髪を数回、いとおしそうに撫でさする先生を、ただぼんやりと見つめていた。


落ちてくる唇。


そこでようやく私は、先生の言わんとする事を理解したのだった。


だけど、今さら抵抗するつもりはない。


私の置かれている状況はこの上なくヘビーで、目の前には遠く長く、いばらの道が続いている。


だけどそんな未来への不安や恐怖なんか、虹の彼方へと吹き飛ばしてくれる


まるで心までとろとろにとろけてしまうような、先生の甘く優しい口付けを、私は無我夢中で、受け止め続けたのだった。
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