STORMILY
「俺が絶対、この手を離さない」


「……どうして?」


先ほどからずっと胸に抱いていた疑問を、私はようやく口にする事ができた。


「どうしてそんなに、私なんかの為に、一生懸命になってくれるんですか?」


学校の先生って、普通生徒にここまで深く関わってくれるものなのだろうか…?


「庄井は俺の同士だから」


先生は迷いなく、力強く言葉を発した。


「初めて会った時から、同じ匂いを感じてた」



『やった。仲間が来た』



ふいに、初めて屋上で遭遇した時の、先生の姿と声が脳内スクリーンに甦った。


「理屈じゃないんだ。本能が嗅ぎ分けるんだ。同じ痛みと苦しみを背負った者だけが放つ、秘密の香りを」


そこで先生は私のこめかみ付近に顔を埋め、右手で後頭部を、左手で肩口を掴み、抱き寄せた。


「頼むから、俺を一人にしないでくれよ」


その思わず、という感じの衝動的な抱擁もさることながら、先生の体も声も震えている事に、この上ない動揺が走る。


私が先生を、泣かせてしまった……?


「……ゴメン」
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