present～over25～
第10章
中途半端な状態で別々の生活を始めたｱﾀｼ達だったけど毎週土曜日は一緒に過ごそうと決めた。


ｱﾀｼは仕事、陸も学校とDJに明け暮れている毎日で会いたくても会えない日が続いている。


一緒に過ごしていた日々が今となっては夢みたいで寂しいというより少し前の自分に戻ったような気がしていた。



大きな音の目覚まし時計は鳴り続け誰も止めてくれない。



ﾀﾊﾞｺも前と同じ本数に戻った。




窓を開けると少し暖かい風が入るようになった3月中旬、今日もﾏｷとあの居酒屋でﾋﾞｰﾙｼﾞｮｯｷを片手に仕事の話をしている。




遥はさすがにもう真山さんに見張られていて外に出歩くことを禁止されていた。




「いらっしゃいませ〜」


聞き覚えのある声に顔を上げるとあの店員の女の子がｱﾀｼの目の前に立っていた。


「こんばんわ」




「こんばんわ。。。」



そういって注文を聞くわけでもなく何か言いたそうな顔でｱﾀｼの顔を見ている。




「どうしたん？」





「あの。。。彼氏さんと別れたんですか？？」



その言葉にｱﾀｼとﾏｷは顔を合わせ首を傾げる。なんで急にそんな事をいうのかも分からずにもう一度その子の顔を見た。



「別れてないよ」



ｱﾀｼより先にﾏｷが口を開いた。



「なんで？？」



女の子は言葉を濁してその場を去ろうとしたけれどﾏｷにそんな事が通用するわけがない。

しっかり腕を掴まれたままﾏｷの尋問が始まった。
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