ただ、そばにいて
「え、エッチ!」

「それだけじゃないよ。……なんか、泣いてるように見えたから」



色々なことに驚いて涙も引っ込んでしまったけれど、ついさっきのことを思い出して再び影を落とす。



「今日は友達といるんじゃなかったの?」

「いたんだけど、ね……。ていうか、ナツは天気悪いのにサーフィンしてたの?」

「天気悪い日ほど人がいなくていいんだよ。今シャワーで砂流してて、帰ろうとしたらアサ姉がいたから」

「そっか……」



まさかいるとは思わなかった……。こんな姿を見られるなんて本当に恥ずかしい。

でも、いつの間にか私の身長を追い越していたナツの腕の中は、とても居心地が良くて。

出来ることならずっとこうしていてほしいと、ただただ願った。



「ねぇ、俺のことどう想ってる?」

「え……?」



突然問い掛けられて顔を上げると、真剣な眼差しを私に向けるナツがいる。



「俺はアサ姉のいとこなんて関係、今すぐやめたい」



ドキリ、胸が波打った瞬間。

波の音も、雨の音もすべて聞こえなくなって、ナツの声だけが脳を支配した。



「好きなんだよ、一人の女として。──朝海のことが」


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