ただ、そばにいて
“好き”だなんて言葉は以っての外、“付き合おう”とか“セフレになろう”とかいう言葉も交わした覚えはなく、自然とそんな関係が出来上がっていた。

翔吾にはきっと私以外にも同じような関係の女がいるだろうけれど、そんなことはまったく気にならない。

だって私も、本当に好きな人は他にいるのだから。



「なんか皆でバーベキューやろうって話出てるらしいじゃん。お前も行くだろ?」

「うーん、たぶん……」

「なに、あんまり乗り気じゃないのか」

「だって仲の良い友達は皆仕事で来られなさそうだし」



私と翔吾は同級生。

高校が一緒だったけれどクラスは別で、お互いにどんな友達とどんな学生生活を過ごしていたか、その当時のことはほとんど知らない。

半年前に友達の結婚式で再会し、二次会で酔った私達はそのまま一夜を共にしたことから今の関係が始まった。


その二次会で意気投合した数人で、これまでもたまに飲み会が開かれていて、今度のバーベキューもその集まりなのだけれど。

私が仲の良い友達はその中に二人しかいなくて、彼女達が来ないと正直あまり行く気にはならない。

その程度の付き合いなのだ。

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