ただ、そばにいて
浮かない表情をする私を見てクスッと笑うと、翔吾は灰皿に煙草を押し付け、私が被っていた布団を剥ぎ取る。

そして上に覆いかぶさると、首筋に唇を這わせながら言った。



「来いよ、俺がいるんだからいいだろ。俺は朝海に会いたい」



そんなセリフは、この男にとっては挨拶代わりのようなものだと理解していながらも黙って受け止める。

不思議と嫌ではなく、何の重さもない軽い言葉だからこそ、逆に気楽でいいのかもしれない。


翔吾は快楽を満たし、私は寂しさを紛らわすために、お互いを利用している。

使い捨てであっても必要なもの──よく言えば、サーフボードと身体を繋ぐリーシュコードのような存在なのだ。


彼は感触を楽しむように手の平で私の胸の膨らみを揉みしだき、小さな蕾を口で啄む。

思わず声を漏らすと、彼は満足げに口角を上げ、その手を下へ下へと滑らせていく。

敏感な場所に指を沈められ、いやらしい音を響かせながら掻き回されると、自然と潤いが増していくのがわかった。



「お前の身体って、綺麗で触り心地いいから好き」

「んっ……そう?」

「他の男には渡したくねぇな」

「っ、あ──」



再び私の中へ彼が入ってくるのを、何の躊躇いもなく受け入れた。

この甘い言葉が、快感が、あの子がくれるものだったらいいのにと、頭の中で都合良く変換しながら。

今激しく腰を打ち付ける男とは別の、海で輝く美しい男の子を想うふしだらな自分を嘲笑った。




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