ヤクザの家族になっちゃった!?



「…龍之介さんなら、行かないって言うかなって思ったのと、行くとしてもトラウマも和らぐと思ったから…。」

そう、言うと

「…トラウマ?」

聞き返される。

「私のお父さん、船の事故で亡くなったんです。

遺体はみつかったけど、

やっぱりお父さんを奪ったこの海って

好きにはなれないから。

けど、龍之介さんがいれば平気な気がして…。」

そう言うと

優しく微笑んで

「そうか。……で、大丈夫だったのか?」

そう、聞かれた。

正直、

今日はあまり一緒にいれなかったから

イライラしっぱなしだった。

けど、

「龍之介さんがそばにいたときは、平気でした」

そう言うと

「そうか。

なら明日はずっとそばにいてやる。」

そう、言ってくれた。

「…にしても」

急に話を変えて驚いたのか

こっちを見てきた龍之介さん。

「今日はなんで怒ってたんですか?」

これは知らないとモヤモヤするタイプのやつだから聞いとく。

今なら話してくれそうな気がしたから。

「…お前が、俺に八つ当たりしないから。」

そう言って照れたようにうつむいた龍之介さん。


…え、

「えっと、龍之介さんってマゾですか?」


そう聞くと

は?

って顔をして

「俺には気を使ってるんだなってことだよ」

と、説明してくれた。

「…そりゃ、使いますよ」

好きなひとだもん。

嫌われたくないもん。

「それで、一緒にいて楽しいか?」

「…楽しいかって言われたら竜たちと一緒にいた方が楽しいですけど…」


別に悩んだりしなくていいし、

無駄に騒げるし、

楽だもん。

けどね、

「でも、龍之介さんといると幸せだなぁって感じるんですよ」

そう、正直にいってから後悔した。

明らかに告白してるみたいになってるから。

でも、訂正のしようがなくて戸惑っていると

「俺もだ」

そう、返してくれた。

…それは、いい意味でとらえちゃっていいのかな?

なんて悩みはするけど

意味なんて関係なしに

嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。

太鼓並みにどんどんとうるさい心臓。

こんなになるのも、龍之介さんといるときだけ。

聞こえてないといいけど

と思いながら龍之介さんを見る。


耳を真っ赤にしながら反対側を向いてる龍之介さんを見て

可愛いと、いとおしいと思ったことは

誰にも秘密。


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