ヤクザの家族になっちゃった!?



泣き止んだあとも、ずっと抱き締めてくれた龍之介さん。


温もりに包まれながらドキドキしてた私。



そんな私たちの空気を壊すように

バタンと勢いよく扉があいた。

そちらの方を見ると

息をきらせた大河の姿が。


「そんな慌てて、どうしたの?」


慌てて龍之介さんから離れて、大河に駆け寄る。

龍之介さんは、私の手を離さず、

テケテケと着いてきた。


大河は息を整えながら

「…落ち着いて聞けよ、」

そう言った。

あんたがね。

と思いつつ、ん?

ともう一度問いかけると

「美幸とコウが…居なくなった。」


…は、

なに、え?

混乱する頭を整理しようと

もう一度聞く。

「二人が、なんて?」

「トイレにいくって言ってそれっきりらしいんだ。」

っ…!

探さなきゃ…、

そうは思うも、

体がすぐには動いてくれない。

その代わり、頭が嫌な方へどんどん回転する。


迷子か

寄り道か…。


それならまだいい。

誘拐…そんなことが頭をよぎる。

考えてなかったわけじゃない。

“草薙組”の一員になった私達が


他の組とかから狙われることがあるかもしれないと。


そんなことを考え始めると

最悪の場合ー…


そんな不吉なことを考えそうになったとき

目の前でパンッと

手を叩かれた。

はっとして目の前を見ると

真剣な表情の龍之介さんが

私の頭を優しく撫でて

「俺達が、必ず見つけ出すから。」


そう、言ってくれた。


その言葉に安心した。

でも、だめ。

「私も、探す。」

私だって、みんなの仲間だ。

一緒に探す。

それに、二人は私の兄弟。

愛しい愛しい家族だから。

失うわけにはいかないの。


私は龍之介さんから離れて

部屋を飛び出した。



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