ヤクザの家族になっちゃった!?
「なぁ、傷物って、別に傷さえつけなきゃいいんだろ?」
男はそう言うとニヤリと笑い
こっちに向かって歩んでくる。
と、言っても二、三歩。
「な、なに…。」
睨み付けながらそう言うと
「教える気ないんだろ?
それならまだまだ時間あるからさ、
楽しもうか。三人で。」
そう、笑った。
え、楽しむ?
トランプかなんか?
それともあれ?
砂浜で旗取る系の…。
うそです。
そんな空気じゃないのはわかってる。
やばいっ…。
慌てはするけど動けないように固定されてる手。
どんどん近づいてくる男に
焦りを隠せない私。
もう、いまさら何をできるわけじゃない
それはわかるけどそれでも暴れ続ける。
お願い、
だれか助けてよ…
なんて、心で叫ぶ。
今まで普通に出てた声も
もうでない。
動くのは口だけ。
慌ててるのに。
助けを呼ばなきゃいけないのに。
なにもできない。
悔しくて涙が出てきた。
ほほを伝う涙を
「あ、こいつ泣いてるぜ」
なんてニヤリと笑いながら言う男。
その男の手が私のほほへと伸びてくる。
触らないで…っ
そう、叫びたくても叫べない。
男の手はそーっと私の顎から目元まで伝のようにあがってくる。
ぞわぞわぞわ
気持ち悪い。