ヤクザの家族になっちゃった!?



しばらく、抱き合っていると

龍之介さんが何があったのか、と聞いてきた。

私は今までのことを説明し、

龍之介さんたちは平気なのかと聞いた。

これを聞いたのは多分なんの意味もない。

けど、大丈夫よね?

って言うのはあった。

確信に近いものが。

けどそうじゃなかったらしく、

「今、親父たちがやりあってる。」

そう言った龍之介さん。

その表情は少し切なげで

悔しそうにも見えた。

「大変!急いでそっちに…!」

そう、口は言うものの体はそう簡単に言うことを聞いてくれない

「でもなんで急に…」

私が龍之介さんにそう聞くと

今までのことを説明してくれた。

私達を迎え入れる前

全ての争いにケリをつけるために

自分達を狙う組や集団を

大半が言葉で、たまに喧嘩で

押さえつけたと。

そしてそいつらが今になってまた、喧嘩を吹っ掛けてきたと。

おっちゃんたちは、私達を迎えるために

危険をできるだけ少なくするために努力しててくれたんだね。

家で暇そうにしてるよね。

なんて思っちゃダメよね。

なんてそんなことはどうでもいいの。

「じゃあ今は…」

「親父たちは向こうに乗り込んだ」

きっと、向こう、と言うのは喧嘩を売ってきたやつらのこと。

じゃあ…

るりたちは…?

幸子や美幸、こうはどうなってるの…?

軽くなった頭にまた新たな不安がずっしりと乗っかる。


無事でいてよ…みんな。


そう、心のなかで願っていたら
ガサガサと草の中から音がした。

その方向の逆側に私を庇うようにいれて

龍之介さんがそっちを睨み付ける。

ガサガサ

また、音がする。


「誰だ。」

龍之介さんが冷たい声でそう言った。


「おにーちゃん?」

草原の中から出てきたのは

手を繋いで不安そうに出てきた

愛しい愛しい私の妹たち。


「こう!美幸!幸子!」

三人の名前を呼ぶと

泣きながら飛び付いてきた。

三人は無傷なようで安心した。

私は三人をぎゅぅっと抱きしめて

「もう大丈夫だからね」

そう言って、また抱き締める力を強めた。



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