ヤクザの家族になっちゃった!?
近くの林に隠れる。
なるべく音を立てないように…と、
ゆっくり進む。
私は龍之介さんにばれないように
静かに涙を流した。
助けに来てくれた事が嬉しかったのも
やっと緊張がとけたのも、
理由はたくさんあるけど
でも一番は
目の前にこの人がいるから。
他の誰でもなく、この人が私のそばで
手を繋いでいてくれてるから。
龍之介さんは少しした場所で立ち止まり
くるっと体の向きを変えた
それが急だったもので
慌てて涙を拭き取ることすらできなかった。
そんな私のほほを伝う涙を指ですくいあげ
「遅くなってごめんな」
そう、申し訳なさそうに言った。
私はもう、自分が何をしたいのかわからなくなった。
そんな悲しそうな顔しないで
助けに来てくれてありがとう。
でも、怖かった
物凄く怖かった。
強がってたけど
すごく怖かった、
でも、あなたが来てくれて嬉しい。
安心した
緊張が溶けて
力も抜けた。
その事を全部伝えたいのに。
うまく伝えられない。
今にも泣きそうな顔をしてる龍之介さん。
悲しまないでよ
なにもされてないよ
結局、私ができた行動は
龍之介さんの胸に飛び込むこと。
龍之介さんは、そんな私を静かに、
でも力強く抱き締めてくれた。
大好きなんです、龍之介さん。
喉まで出かかった言葉、
けど、今それを言えば
責任をとれっていってるみたいで
嫌だった。
溢れそうな思いを
必死で押さえて
ただ、静かに龍之介さんにしがみついてた。