ヤクザの家族になっちゃった!?



「…悪い。場所間違えたな」

申し訳なさそうにいった竜。

「…竜は悪くないよ。」

ううん。

竜はって言うより、

竜もだよね。

だって、龍之介だって悪くない

ただ、人と話してるだけ。

悪いのは私。

龍之介の元カノを受け入れられてないから。


きっと、元カノさんが私と同じ立場なら

受け入れられてるんだろうね。

私はそんな部分でもすごい子供で、

いくら大人ぶっても大人になんてなりきれなくて、

龍之介との年の差を感じさせられる。

たった六歳だけど。

でも、それはとても大きな六歳で、

今、その大きな距離が身に染みた。


そんなことを考えてるなら、視線をはずせばいいのに。

私は視線をはずせずにいた。


……?

今、女の人と目があった?

いや、こっちは見えてないだろうし、

それはないか。

なんて思ってたら

女の人が龍之介に耳打ちした。

背中を見せてる龍之介の表情はよく見えなかったけど、

横を向いた龍之介の顔がすごい嬉しそうで、

いとおしそうで…

そんな顔をしてた。



…ねぇ。

何を話してるの…?

割り込んで聞きに行きたい。

でもきっと、それこそ龍之介を困らせる。

「…時間だぞ」

私は龍之介から視線をそらし、

竜についていった。

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