ヤクザの家族になっちゃった!?

龍之介side




龍之介side


今、結構焦ってる。

なぜか。

和泉があの男と楽しそうに話してるから。

俺といるときとは違って、

無邪気に騒いでるから。

いつかあの男に取られてしまうのではないか…と。

「せっかく私が来てあげたのに、

そっぽ向いてんじゃないわよ!」

目の前にいる女が怒りだした

でも、それどころじゃない。

和泉が食べた焼きそばをあの男が食べてる。

同じものを。

逆じゃないだけまだいいが、

正直、気にくわない。

こんな嫉妬をするなんて、いつぶりだろう。

多分、今までに一度もなかった。

割り込んでやろうか。

とも思うが、

目の前にいる女が俺の手を離さない。

さっさと用事を終わらせてもらうため、仕方なく女の方を向いた。

「なにか用か、七海。」

「ったく!いくら彼女か好きだからって元カノ放置するんじゃないわよ!」

「元カノだっていっても、付き合ったのは半日だろ」

しかも、七海の現在の彼氏である男に嫉妬させるために俺を使ったんだし。

「まーね!
あ。そうそう。用事ね、」

やっとか。

「私、結婚することになったの!」

「…そうか。」

「なによ、その冷たい態度!

招待状よ!はい!」

七海はそう言って俺に封筒をつきだした。

「彼女さんも一緒に来てね」

「和泉をつれていかないわけがない。」

「あー、はいはい。
ずっと一緒にいたいよータイプね。」

「わるいか?」

「のろけやがって…。まぁいいわ。

龍之介、あんた私とダンス踊ってよね?」

「…は?」

「幼馴染みで一回踊らなきゃいけないみたいなのよ。

それで男の幼馴染みはあんたしかいないから。」


「…一曲だけだからな。」



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