ヤクザの家族になっちゃった!?
グイッ

腕を捕まれ、

温もりに包まれた。

「…え、?」

ちょ、え、なに…

ドクドクと心臓が暴れる

「お前はなにも心配するな」

そう、耳元で囁かれた。

私今、顔赤いかも…

好きとかじゃないよ?

ただ、抱きつかれるのに慣れてないってゆうか…

うん。そうだよ。

私は自分に言い聞かせるように、

心を落ち着かせる。

すると、ふっと、温もりがなくなった。

…寂しい

そう感じた。

「1000万ですね。」

龍之介さんは、そう言って紙を鞄から取り出した。

「これでよろしいですか。」

そう言って1000万とかかれた紙を女に渡した。

…もしかしてあれ、小切手ってやつ?

始めてみた…

っと!

「龍之介さん!さすがにそれはー…」

私が止めようとすると、

「自分の女に払わせる気はない」

そう、バッサリ言われた

「いや、だから、龍之介さんの女になるつもりは…」

「わかってる。大丈夫だ。」

…何が大丈夫なのよ…

「1000万…確かに受け取ったわ。」

「もうこれで、あなたと彼女の縁はきれます。…まぁ、戸籍上、実親関係なのは変わりませんが。…こちらの 資料にサイン等をお願いします。」

バサバサと手続きをしていく。

なんか複雑…

こんな人、親だなんて思ってなかったはずなのに…

寂しいと感じる。

昔のお母さんが甦ってくる。

昔の、仲良かった頃の家族が…

やっと苦痛から離れられるのに…

泣きそうになってくる。

私は下を向いて、涙をこらえる。

「では、これで。」

龍之介さんは私の手を引いて玄関に向かう。

「もう、私の前に現れないで」

女は…お母さんはそう言った。

「お母さん、今までありがとう。大好きでした。」

私はそう言って頭を下げ、

少し笑って玄関の扉を閉めた。

幻かな?

最後に見せたお母さんの顔、

少し悲しそうだった。

「行くぞ」

龍之介さんはそう言って私の手を引き、

車の前まで連れてきてくれた。

やばい、涙がこぼれそう…
< 36 / 257 >

この作品をシェア

pagetop