大切なモノを守るために
2005年4月。

高校生の私は駅から
徒歩で実家に帰っていた。

ある水曜日の日に
どうしても借りたいCDがあった。

ケツメイシのさくら。

この曲が世の中になかったら
私はたつみと出会うこともなかった。

何でかと聞かれたら
帰り道にレンタルできる場所がなくて
私はわざわざ遠いそのレンタル屋まで
歩いて向かっていた。

普段なかなか通ることのない
公園の近くをその日歩いてた。

目の前にヤンキーのような人がいて
うわーって思いながら
無視しようって思いながら
横を通り過ぎようとした。


すると
「すいません、鍵なくしてしまって。
 一緒に探してもらえないですか」
と言われた。

私は自分で思うほど偽善者で
「いいですよ」と答えた。


少し時間が経って
「すいません!見つかりましたー!」

と言われたから

「よかったです。
 では私用事あるので失礼します」

と丁寧に挨拶をして
あっさり去るつもりだった。

すると
「お礼も兼ねて送っていきます!」
と来たので

私は
「用事あるので大丈夫です。
 たいしたこともしてないので。」

とその場を去ろうとした。

だけど彼はしつこく番号を聞いてきた。

めんどくさい が本音だったから
このままついて来られるぐらいなら
と思って番号を教えた。

「俺たつみっていうんよ。
 電話明後日ぐらいかけるから出てね!
 本当にお礼もしたいから」

と言って彼はその場からいなくなった。

私は目当てだった
ケツメイシのさくらだけを
レンタルして
そのまま何もなかったことにして
実家へ帰った。
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