444
僕は、走る。


夕暮れのオレンジが差し込む廊下を、僕は走る。

自分の影が、後ろを追いかけてくる。

息が切れて苦しい。


それでも、僕は、走る。


振り返ると、さっきまで僕をバカにしてたやつらの声が聞こえてきそう。


『おい、ノロマ』

『近寄んなよ、ばい菌うつるだろーが』


「うるさい、うるさいうるさいうるさいっ!」
頭を振りながら、声を振り切るように走る。
< 2 / 265 >

この作品をシェア

pagetop