深海魚Lover
建物の前、充がつけたライターの火に銜えた煙草を近づける出雲。

すると分厚い門が開き、中から出雲を迎えに右田が出て来た。

「若頭(カシラ)、御戻りですか?」

右田は、充の頭を勢いよく小突く。

「このバカがっ!」

「イテッ、イテテ」

「さあ、早く中へ
 こんな目立つところで
 誰が命を狙っているとも限りません」

「親父は?」

「親分でしたら退院されてからは
 体調の方も随分と宜しいようで」

「そうか」

「早く会って差し上げて下さい
 とっても喜ばれますよ」

「俺のことなんて忘れてんじゃねえの?」

「何をおっしゃいます!
 カシラのことを忘れるなど
 絶対に有り得ませんよ」

「ふっ、忘れてほしいぐらいだぜ」

「アニキッ!」

出雲がそれ以上ぼやく事のないように、充は首を左右にふる。

いくつもの鍵穴がある厳重な重い扉が今開かれると、そこには列をなす強面の男達。

「カシラのお帰りだ」
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