深海魚Lover
いつ眠ってしまったのだろう。

浅い眠りの中、うるさい工事の音と共に芽衣子の声が聞こえた。

聞こえてホッとしている、俺----

「マジ、やばくねえか?」

出雲は頭を左右に振った後、乱れた髪を掻き上げる。

すると聞こえる着信音、切れてはかかってを何度と繰り返す。

「もしもし?」

「やっと繋がった
 カシラ、今どこですか?
 
 無事ですか?」

「どうした右田の兄貴
 親父に何かあったのか?」

「いえっ、ミツルのヤツがヘマして
 オザワ組に捕まっているとクロス
 という男から組直々に連絡があり
 
 カキムラの兄弟がとりあえず
 以前オザワ組が在った場所へ
 向かっています

 ……

 カシラ、これから私がお迎えに
 あがります
 
 それまで勝手な行動は、カシラッ!?」

プープープー、切れた着信音----


『……お気をつけて』


勢いよく開け放たれた扉は鍵をかけられることなく閉まる。

振り返ることのない、出雲の背中。

通話を切り勝手な行動をとる出雲の事が心配な右田は車を飛ばして緒澤組へと向かう。

「頼む、無事で」
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