甘く熱いキスで
「ん……っ」

微かな水音が響く頃には、ユリアは膝を床についてライナーに体重を預けるようにしてキスに応えていた。

ライナーの手はユリアの背を優しく辿り、右手が無意識に……ユリアの胸の膨らみに触れる。

ピクリとユリアの身体が跳ねて、ライナーは唇を離し、薄っすらと目を開けた。

ユリアは頬を染め、照れたようにライナーから少し視線を外す。

それから、視線を泳がせるユリアの後ろ、リビングルームへの扉の辺りに人の気配を感じて、ライナーはフッと笑った。

おかえりのキスは長すぎたようだ。

「夕食、できてしまったみたいですよ?」
「えっ!」

ライナーの視線を辿ってユリアが振り返り、慌てて立ち上がるのを追いかけるように立ち上がり、ライナーはユリアの肩を抱いた。

「ユリア、明日はお弁当を作っていただけますか?」

そう言うと、ユリアの表情がパッと明るくなって元気よく「うん!」と答えが返ってくる。

きっと、ユリアもライナーに頼られると嬉しくなるのだ。どちらかが甘えてばかりでも、甘やかしてばかりでもダメで……2人で寄り添って生きていく。

いや……もうすぐ生まれてくるフィーネと、もしかしたらまだ増えるだろう家族と、ずっと――…
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