明日晴れたら、




南くんは優しい。


中1の体育祭の練習で足首を怪我した男子に、とても優しかった。




私が朝登校して靴箱に行くと、南くんは上靴に履き替えているのに、ずっとガラス張りのドアから外を見ていた。

南くんの優しさをまだ知らなかった私は、早く教室に行ったら良いのに、と思っていた。



私と同じクラスだった南くんは、数分後、なぜか2つのスクールバッグを持って教室に入ってきた。

首を傾げていると、南くんのうしろから松葉杖をつきながら歩く男子が、「南サンキュ、助かったわ」と笑顔で言った。

松葉杖をつく男子の足首には包帯が巻かれていた。

それを見たクラスの女子が、「その足どうしたの!?」と駆け寄った。

そのあとすぐに「骨折って、ウソ!?」という叫びにも似た声が教室に響く。



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