僕は君の名前を呼ぶ
「だ、大丈夫?」
「わりぃ、ちょっと考え事してた…」
橘の家の前でさっきまでの出来事を思い出していたら、すっかりボーッとしてしまっていたみたいだ。
橘に声をかけられて、我にかえった。
会場へ向かおうと橘を見ると、胸が高鳴った。
橘は、黒地に赤い花が描かれたキレイな浴衣を着ていた。
でも、着られている感じは全くなくてとても似合っていると思った。
「…綺麗、だな。」
「ん、浴衣?これね、今年新調したんだよ」
「えと、浴衣もだけど、橘が綺麗だと思った…」
絶対今のは、言葉の最後方が小さくなってたと思う。
恥ずかしすぎて、心臓が爆発するかと思った!
「あり…がとう」
橘は少し恥ずかしそうに答えた。