僕は君の名前を呼ぶ
「付き合いたいとかそういうのじゃねぇんだよ。笑顔が見たいっつーかなんつーか、俺が笑顔にできたらいいなーって」
自分で言っておきながら恥ずかしくなってしまった。
「すればいいじゃん。お前ならきっとできる」
隆太は何を根拠に言っているのかわからなかったが、俺の想いに揺ぎはない。
「おう、頑張ってみる」
「両想いになれたらいいな」
「バッ、バカ、やめろっ」
彼女があの日の、桜の木の下での微笑みを取り戻せるなら俺はそれだけで十分だ。