僕は君の名前を呼ぶ
放課後、俺は荷物をまとめてひとりで図書室に向かった。
図書室のドアを開けるとすでに作業をしている橘さんがいた。
「ごめん、橘さん、遅れちゃって。俺もやるよ」
図書室にいるので一応小さな声で話しかけた。
「あっ、えっと…、背表紙の番号を確認してそれと同じ番号の本棚に戻すんだって」
「了解」
俺は仕事を確認すると橘さんが抱えていたたくさんの本を彼女の腕の中から取った。
「あの…」
「遅れたのは俺だし。埋め合わせ」
「ありがと…」
すると彼女はうつむいてしまったので顔が見えなくなってしまった。