ねぇ、先生。

美術室の中には誰もいない。

当然美術部の部員はいないし、先生の姿もない。


…そうか、美術準備室…

いつも先生がいるのはあそこだった。

今日もあの中で絵を描いてるのかな。

音を立てないように歩いて美術準備室の前まで来ると、心臓がバクバク音を立てるのが分かった。


「はぁ…」

ジワリと汗が滲む。

1日にこんなに緊張することなんてあんまりないから、心臓が壊れそう。

ダメだ、怖い。


ドアノブを掴む手が震えた。

それでも、行かなきゃ中村さんに何を言われるか分からないから。

…謝りたいのが一番だけど。


―カチャ…

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