ねぇ、先生。
「いいの?」
「うん、俺じゃ決めらんないから」
カラフルなものから落ち着いた色のものまで、たくさんあった。
この中から一つを選べっていうのは、なかなか難しいことだと思う。だって全部素敵な絵だもん。
「あ…あたしこれ好きだよ」
一つ目を引く絵があって、それを指差すとなぜか先生は嬉しそうに笑う。
「何?」
「いや、どれ選ぶかちょっと予想してたんだけどね、ほんとに選んだから」
淡いブルーの背景に綺麗な女の子の横顔が描いてある、透き通った絵だった。
「これにしようかな」
「ほんとにいいの?」
「先生の俺が決めるより、生徒が決めた方がいいと思わない?」
まぁ、その通りかもしれない。
実際に参加するのは生徒であって、その生徒が気に入らないポスターを飾ったって何の意味もない気がする。
「これにするよ。」
広げた下書きをかき集めると、選んだもの以外を大事そうに棚にしまう。
「全部とっとくの?」
「うん、せっかく描いてくれたんだから。選ばれなくても全部大事だよ」