ねぇ、先生。

――――――
―――――――…

いくら辛くても、学校に行きたくなくても、そのままにしていればそれで終わってしまうことは分かってた。

朝、先生が教室に入ってきてから帰りのHRが終わって出て行くまで、やっぱり一度も目が合わなかった。

今でもまだ信じられない。

昨日の電話はほんとに先生だったのかな、なんて思ってしまう。

でもやっぱり、先生の今日の態度を見てるとあれは先生で、昨日言ったことは冗談でも何でもないんだって実感した。


「咲良、今日どうする?」

「今日はやめとく。用事あるの」

「そ、じゃあ俺今日1人か。」

「加地くんは?」

いつも通りシロは教室に残って勉強するらしい。いつもは加地くんや梨花がいるのに、今日は1人って。

「加地も用事あるって」

「そっか」

加地くんが今日すぐに帰ってくれてよかった。鋭いから、もしかしたら何か気づいてしまうかもしれないから。

先生はいつも生徒に囲まれて少しの間話してるのに、今日はそれもなくすぐに教室を出て行ってしまった。

あたしと話したくないからかな。


「咲良?」

「何?」

「お前、カバンは?持って帰んねぇの?」
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