ねぇ、先生。

新学期が始まって……いや、それよりも前から、先生はあたしのバイト先に来なくなった。

あたしが先生に会えるのは学校だけ。

その学校を卒業してしまえば、元副担任と卒業生。そんなありきたりな関係になってしまう。

…あの笑顔を向けられることも、なくなってしまうんだ。


「咲良さん?」

「え…あ、はい」

「テープ、ちょうだい?」

「わ、すいません」

ボーッとしてて気づかなかった。

先生は残りの1枚を玄関の近くに貼って、満足そうにそれを眺めてる。

「…先生、文化祭が終わったらこのポスターどうするんですか?」

「んー、何も言われてないから一応美術室に置いとくつもりだけど、何で?」

あたしが書いた字と、先生が描いた絵。


「…これ、貰ってもいいですか?」

思い出として、持っていてもいいですか?

< 89 / 451 >

この作品をシェア

pagetop