ねぇ、先生。
先生は一瞬驚いた顔をして、すぐに表情を緩ませた。
嬉しそうな笑顔にキュンとする。
「これね、俺も一番気に入ってんの」
だから、大事にしてね。なんて言って笑った後、あたしの頭をポンポンと撫でて歩き出した。
「あの、あたし別のでも…」
「ううん、これは咲良さんに貰ってほしいんだ。」
何よりも嬉しかったのは、あたしが一番気に入ってるポスターが先生にとっても一番気に入ってるポスターだったこと。
「…大事に、します」
こんなことでいちいち舞い上がってしまう自分が情けない。
「俺も、大事にするから」
そう言って振り返った先生はいつもみたいにふにゃんって笑ってなかった。
困ったような、悲しそうな。
その理由はあたしには分からないけど、胸がギューっと締め付けられる。
…先生、どうしてそんな顔するんですか?