【完】切ないよ、仇野君
雫ちゃんはその大きな猫目で行雲キャプテンのことをぼやぁ、と見つめている。


「信じるか信じんかはどっちでん良かばってん一応言いますけど、俺、人のオーラが見えるとですよ」


さも何でもないかのように、いつもと変わらぬ小生意気な態度で言ってのける雫ちゃん。


それって、スピリチュアル的なことだよね。朝の占いを『下らんわー』と言っていた雫ちゃんが、冗談でそんなこと言うとは思えないし、多分、ホントのことなのだろう。


女子ならともかく、男子はこういう話信じなそうだな……なんて思って見てたんだけど。


「なんじゃそら!そういうこつはもうちょいはよ言わんかい!」


「雫!俺んオーラどやん!?どやんなっとる!?」


水高バスケ部純粋三年コンビのキャプテンとケイ先輩は、目を輝かせて雫ちゃんに顔を寄せた。


これには、普段すましていて、あまり驚いた顔をしない雫ちゃんが大きな目を更に大きくして驚いている。


「……ふはっ!女子にそん反応されるこつはよくあるばってん、男に引かれたり馬鹿にされる以外の反応、初めてされたわ」


そして、可愛らしいその顔を崩して無意識なのか、見たこともない顔で笑った。
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