【完】女優橘遥の憂鬱
 「あぁ。まさか、お前が本当の娘だったなんて知らずにな……」


「でも……幾ら復讐のためだと言っても、偽の借用書でがんじがらめにしなくても」


「何!?」


「社長に言われたの。私の借金はあのCMの契約金で無くなったんだってね?」


「えっ!? 嘘だろ?」


「監督、本当ですよ。だから監督が嘘を付いて彼女を縛り付けたって……。えっ!? 知らなかったんですか?」


「それじゃ俺が渡された物は?」


「彼女が所属していた事務所が保管していた物のようです。確かにその頃には借金はありました。でも完済寸前で……」


「あのCMの契約金で……後僅かだったんだって。完済の見通しが着いたので破棄寸前だったらしいの」


「嘘だ。だったら俺は何のために?」


「監督を金儲けの道具に使うためではないのかな?」


「会社に利益をもたらせてくれる得意先が、橘遥さんの御相手のようでしたから」


「あぁそうだよ。だから俺もお客様って言ってたんだ」


「どうしてそんなことになったのですか?」


「俺の映像で作り話を放映して番組に穴を開けたヤツがいる。その代償にAVを製作されられたんだ」


「例のヤラセですか?」

父は頷いた。


「確か……。密林の奥に新人類発見……とか、でしたよね?」


「良く前人未踏ってのがあるだろう? でも、鎖でやロープで降りて来るのを下から撮影したりして……。カメラマンが先に入っているとか批評があったりして……。俺のもそうだった。道も何も無い密林の奥の映像なのに車が映っていたんだ」


「流石にそれはヤラセだって言われますね。でももしかしたら被害者を装った。のかも知れませんね」

彼の言葉に、父は戸惑いを隠せなかった。




 「故意か?」


「それ以外考えられません」


「そうだとしたら、あの時バッシングされたタレントは?」


「どうせ使い捨てですよ。落ち目になった人を使ったようですから」


「そんな……」

海翔さんの言葉に私は声を失った。


「あのプロダクションが大きくなったのは結局豚の寄生虫で亡くなった方のお陰なんですよね? だったら考えられます」


「其処まで調べてくれたのか? そうだよ。其処からの腐れ縁だ」


「保険金を騙し取る目的で二人共殺されかけたんですよね?」


「豚の生肉なんかを判らないように入れられてな……。発祥したのは俺達だけだった」


「監督だから特別料理だったと聞きましたが」



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