【完】女優橘遥の憂鬱
 訴えたかった。
でも反故にされた。

私の両親は借金を背負わされて自殺していた。

その借用書が何故か監督の手にあったのだ。

その借金をAVで払うようにと言われたようだ。


私は監督に売られたことになる。
だから何をしてもいいと思っていたようだ。




 『タイトルは決まっている。いいか、お前は今日から橘遥だ。戦慄!! 橘遥処女を売るだ!!』


『えっ!? 聞いてないよ。彼女処女だったのか? だったら犯罪じゃないか!?』


『お前等、気付かなかったのか? この娘が流したアレに』

監督はそう言いながら、目配せをした。

其処を見ると、私の純潔な証があった。


『ヤベ。コイツ本当に初めてだ』


『あぁ、だからあんなに拒んだのか?』

男達は震えていた。


『俺達三人は犯罪に手を染めたことになるのか?』


『そうだよ。俺達は一蓮托生だ。そのことを忘れるなよ』

監督は、男性俳優達に向かい吠えていた。


『でもコイツは、どう見ても未成年だ』


『大丈夫だ。コイツは今日二十歳の誕生日なのさ。だからこの日を待っていたんだ』


『こりゃとんだバースデイプレゼントだ。俺達はただ、後腐れのない生粋の女子大生と生で遣らせてくれって言うから来ただけなのに』


『でも最高だっただろう。何も付けないで女を犯すのは』




 『そりゃ、勿論最高だよ。コイツ無理に締め付けるんだ。それが却って俺達が悦ぶことなんて知らずにな』


『知らないのが当たり前だったのか? 本当に初めてだったなんて』


『えっ、そんなに締め付けたんか? そんだったら、一緒に遣らせてもらえば良かったな』

監督が突拍子のない声を出した。


『あ、妊娠するとか気にするな。事務所から安全日だって聞いている。だから生で遣らせたかったんだ』


(生? 何も付けないで遣らせる? 安全日って何?)

私は私の知らないところで商品として売買されていただけだったようだ。


『安全日か? あぁ、だったらもう一回遣って出してぇ。コイツマジで凄いんだ。俺、あのままイキたかったんだ』

最初の男性が言った。


『だったら、早く遣れ。此処を借りられるのは後一時間ちょいだ』

監督がそう言ったかと思うと、私の体は俳優陣の脱ぎ散らかした服の上にうつ伏せにされて又がんじがらめに拘束された。




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