【完】女優橘遥の憂鬱
 監督との腐れ縁は、その後八年もの間続けられていた。
その横には何時もあのカメラマンが居た。


耐え難い屈辱をファインダーを通して撮し取る。

カメラマンは常に私側にいてくれたようだった。


『待った。先に遣らせてくれ。誰かこのカメラ頼む』
そう言いながら遣ってしまったことが、カメラマンとして恥ずべき行為だと感じていたようだ。
だからあんなに御託を並べた訳だ。


でも私はあの時、不思議な感覚になった。


身体の中を通り抜け一番奥の壁をリズミカルに叩かれた時……
私はさっきまで痛くて、辛くて啼き叫んでいたとは思えないような声を出していた。


もしかして……
あれが喘ぎ声?

そうだったのかも知れない。

私はきっと彼のテクニックでイカされていたのだ。


私は今二十八歳。
グラビアアイドルは限界のようだった。


生で遣らせる橘遥のDVDの売れ行きも落ちて来ていた。


だからなのか?
きっと監督は見切りを付けて、最後に最初の男達と手を組んだに違いなかった。

もう一度、私を売り込むために……

だからカメラマンを変えたのだ。




 でも何故あの娘が?


私は床にアヒル座りになっているまだあどけない少女が心配でならなかった。


『ハロウィンの悪夢・拉致、監禁そして〇〇〇!!』
監督はその〇〇〇!!のところに再戦慄!!

と入れる予定だったそうだ。

戦慄!!
が私のデビュー作品だと知っている人が、そのDVDを売る作戦だったようだ。




 『だっておかしいでしょう? 私を脱がせたいなら……、どうしてデニムなの?』
って聞いたら……


『それも、彼方さんの希望だ。どうやら手こずりたいらしいんだな』

そう言った監督。


(だから、あの娘は助かったの? そうよ。私の時と同じだったらきっと最初から遣られていた……)


その時、監督の言って意味が理解出来た。


(手こずりたいか? でも本当に手こずって良かった)




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