人魚
少し得意げな顔で、ちょっと恥ずかしそうに
コウタロウは鼻を指でこすった。
こういうところ、
絶対女のあたしより可愛いと思う。
ただ女として生まれたあたしより
全然........
「青?どうした?」
うつむいたあたしを、
コウタロウの綺麗な目が覗き込む。
「すごいじゃん、コウタロウ!
野球馬鹿かと思ってたけど、頭よかったんだね」
「ぅをいっ!それ誉めてねーし!
青、俺のことちょっと惚れ直した?」
わざとあたしの目線に合わせて、真剣な表情を浮かべる。
大丈夫、
コウタロウのこと、ちゃんと好きだから。
って、
心では思ってても素直に言えないあたしは、
「もー顔近いっ!」
そう言って、コウタロウの顔を手で押し退けた。