無愛想な彼が私を見ない理由



………また、そんな声で言うから

ズルいって思ってしまう。


いや、本当に佐倉くんはズルいんだけど。


『岡野さん、遅い』


「えっ?!ごめんなさい……」


佐倉くんの所為じゃん……とか思いつつ、

彼の隣に行った。


そのまま図書室を出て、下駄箱に向かう。


『………岡野さん。

さっき何してほしかったの?』


「ふえっ!?な、なんでもないです!」


………言えるわけないじゃないですか!!

その……あの……ね?


『言ってくれたら、してあげるのに』


「はいっ!?」


『ま、時と場合によるけど』







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