◇東雲庵◇2014〜2017◇


【そして焼け木杭に火がつく】

中1〜高1迄なんですよね。BLに夢中になっていた時期って。ってかそれ思春期まるっと沼やがな、とも思うのですが。
16歳になるとダメですわ、ノンノ(笑)とか買い出して洒落っ気が出てくる。そうするともう内ではなく外に意識が向いて、外界に対して自分を飾る事の方が面白くなって来ちゃう。
加えて94年頃(当時高1)になると大手出版社がブームに乗って公式にBL雑誌(BE×BOY、麗人、etc)をどんどん創刊し出すんで、興ざめしちゃったんですよねー。何ていうかな、そーゆーのって裏でこっそりやるのが楽しいのに、表に堂々と出されてさぁどうぞ!って言われても。逆に退いちゃうのです。
しかもそれらの多くは全編エロ(まぐわい)ばっかりだったんです。違う!私はまぐわいを消費したいんじゃないんだ!そこに至るまでの悶々が楽しいんだよ!最初から受け入れて一冊ひたすらイチャイチャしてどーすんだよアホー!、みたいな。(※個人的見解です)

そんなこんなで、身体的な成長と共にBL業界が市場拡大して一気に興ざめ。そっからパタリと同人誌や漫画、ラノベ等の一切の読み描きをやめて、卒業してしまいました。急降下、急上昇。男2人が並び立っていたらとにかく何でもカップリングしていたのに。沼って抜けられるんだなー。

その。
遥か昔に足を洗って存在さえも忘れていたBL沼が。

20年の時を超えて私の目の前に蘇ってしまったのだ…!(ザッパーン)うっかり足を踏み入れてしまったら、お、面白いじゃないか。たた、楽しめるじゃないか。なかなかどーして。(笑)

キッカケは落語心中(つくづく罪作りな作品である。菊さんの流し目に眠っていた何かが目覚めた)とpixi◯コミックです。(クリエーターはいつだってアンダーグラウンドにウヨウヨいて、頭角を表す人はそこから世に出てくるんだとpixi◯見てて思う。そして私も同じ世界で思春期に感受性を構築されたんだなーと。あそこのホーム感半端ない。)

もうあの頃のようにホモなら何でも手当たり次第に食う!みたいな熱はありませんが、雑多な量産時代を経て、今はメジャーでも良質なBL作品があるんですね。良質ってのはあくまで個人的見解ですが。つまり、エロが目的ではなくカップル成立するまでの懊悩にドラマがあって、人生とは生きるとは愛とは何かみたいな永遠のテーマにまで言及しつつ、人物たちが美しく描かれている作品ね。BLでなくては成立しないある種の美。
そんな作品群に出会ってしまったらば、充足感が半端なくてですね。貪るようにして揃え、読みました。大人ってやぁね。この人好き、と思ったらクリック1つでコンプリート出来ちゃうんだもの。(笑)

目下のところマイブームは

日高ショーコさん(憂鬱な朝、他)
中村明日美子さん(同級生、他)

が、二大巨頭です。震える。

雲田はるこさん
西炯子さん

はBL出身なのが理由と確信していますが、作品に哲学と艶があって好き。西さんは『オトコの一生』や『姉の結婚』で近年ブレークしましたが、元々は新書館のウィングス(当時の新感覚マンガ雑誌)で自身の連載と前出の角川ルビー文庫『富士見二丁目交響楽団シリーズ』の挿絵をされていたのが強く印象に残っています。

【来し方を述べたところで、さて。改めてBLの魅力ってなんだろう】

何故、惹かれるのか。

70年代〜80年代の少年愛ブームの頃から考察されていたのは、いわゆる「少女が“女”という業から解放され、純粋に愛のみを追求できるアイコンとしての魅力」ですよね。

男×女の恋愛は、スタートは恋愛であってもその先に結婚や出産などの関門が控えている。そうすると打算的・生産的要素抜きには語れないじゃないですか。要は、王子様と結婚して末長く幸せな家庭を築きました、っていうハッピーエンドをさ、「あれは夢物語よ」と言いつつも、少女達にとってはどこか現実感があるわけです。「お金持ちと結婚して安泰な家庭を築く」っていう幸福論が裏に存在しているから。その押し付けがそこはかとなく匂ってくるし、BLに傾倒するような感受性豊かな女子達はその匂いを敏感に嗅ぎ取っちゃう。読み取り能力っていうの?に、長けているから。

だけど男×男の場合はゴールになんの打算要素もなく子供を作るという生産的目的もなく、ただ純粋に恋愛だけを楽しめるわけです。しかもそこには世間的タブーという絶対の禁忌がある訳で。数々のタブーを乗り越えてただお互いだけを求めて結ばれるところに少女は「本物」を感じるのだと思います。そしてそれを「もし自分だったら」と当てはめることなく完全に傍観者として楽しめる。そりゃー夢中になります。
女はこうあるべき、っていう観念の根強い日本において、抑圧された少女たちはBLに夢を見てきた…ん、じゃないかなぁ。大人になってから読んだモノの本によるとね。当時はそんな小難しいこと考えずに読んでいましたが。

あとはこれ最近仲良し作家さんと盛り上がっていたんですが、BLの何が良いって、もう圧倒的に「生物として同じ力を持つもの同士」だからこそ、ガチンコ勝負をして認め合える所なんですよ。
男女のように守る・守られるの関係じゃないんです。仕事も喧嘩も恋愛もフル出力でぶつかって、お互いを認め合えるというのが素敵だなーと。(あくまで現実のゲイの話ではなくBL創作物の話ね。)
だから、落語心中で言ったら助六と菊比古、アルスラーン戦記ならダリューンとナルサスみたいに、同等の力を持っているライバル同士、かつパートナーみたいな関係は垂涎なんですよねー。

【…長々と何語ってんだ、東雲。】

5000字も無駄に費やしてしまった。
久しぶりの更新がコレってどうなのか。
まーでもホラ、歳を重ねると自分のルーツを語りたくなるんだな。そーゆーことだな、多分。
ちなみに、東雲葵というペンネームは同人マンガや『ファンロード』という雑誌に投稿するイラストを描いてた頃の名前です。闇が深いでしょうあははは。
足を洗ってからは一般人への擬態(笑)に全精力を注ぎ完全に化けることに成功するのですが、その辺の話は、また今度。


【いま、ふたたびのBLへ。】完





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