茉莉花の少女
 窓辺には彼女が奈良からもらった花と茉莉花が飾られていた。

 そして、その先には秋色の空があった。

 どこか悲しそうで虚ろな空色に見える。

「わたしは昨日、キスしてくれてうれしかったよ。だからそんなことをしたなんて思っていない。

そんなこと気にしなくていいんだと思うよ。難しいことは分からないけど、久司君もわたしも嫌じゃなかった。

だから、それは汚いものじゃないんだって。

でもやっぱり、幼いときにそんなものを見てしまったのがショックだったのかもしれないね」



 彼女は僕を包み込むように抱きしめた。
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