茉莉花の少女
第18章 奇跡であったとしても
 僕がもらったプレゼントは勉強をするソフトや、英会話の教材のセット。

 今から見るとうんざりするようなものばかりだった。

 でも、子供のときは父親がくれたということで喜んでいた気がする。

 でも、一番うれしかったのは、あの家で迎えた最後の誕生日の日に祖父が言ってくれた「お誕生日おめでとう」という言葉だった。

 今ならどうしてそれが一番うれしかったのか分かる。

 あの家での唯一の敵でなかったのが彼だけだったからだろう。

 母親を嫌っていた祖父だったが、僕を祖母に比べるとまだ責めないでいてくれたからだろう。
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