茉莉花の少女
 人通りの少ない廊下までいく。そこで最初に口を開いたのは彼女のほうだった。

「本当は好きでつきあっているわけじゃないんでしょう?」

「どうして」

「わたし、聞いちゃったんだよね。茉莉先輩が藤木君につきあってと言っているところ。もちろん誰にも言わないよ」

 彼女は言葉を選びながら話をしていると思った。

「今まで誰からもそんなことを言われて、OKしなかったでしょう?

でも、茉莉先輩なら何でOKだったのかなって気になっていたの」

 分からない。

「茉莉先輩が綺麗だから?」

 それは違うと思った。
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