茉莉花の少女
「お弁当のこと? でもきっと作ってきてくれる子は多かったと思うよ」

「正直、よく分からない。

でも、彼女が見たいものを知りたかった気がする。多分、それだけだから」

「それが分かったら別れるの?」

「そうなると思うよ。そういう約束だから」

 彼女は心なしか、胸を撫で下ろしているように見えた。

「そっか。安心した。でも、どうして先輩のことで悩んでいたの?」

 彼女は忘れていた話を引き戻してきた。

 半ば忘れていたのに。
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