茉莉花の少女
 その足が急に止まる。

「いつでもいいから暇なとき、電話をしてね」

 彼女はそう言うと、笑顔を浮かべていた。

 そして、いつもの交差点で別れた。



 彼女に電話なんてする気は全くない。

 だいたい翌日になったら好きなだけ話せるのに、わざわざお金を払って電話をするという神経が分からない。


 僕は家の前の階段をあがり、ドアの前に来た。

 いつもは静まり返った部屋なのに何か違和感がある。

 ドアノブに触れると、鍵が開いていた。

 僕はその事に気付き、身震いした。
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