茉莉花の少女
 そう言うと、彼女は僕の腕を引っ張っていく。

 彼女の部屋は玄関先の階段を上がって、一番奥にある部屋だった。

 扉を開けると、僕に部屋の中に入るように促す。

 部屋の中に入ると、さっぱりとした荷物の少ない部屋が目に入ってきた。

「意外と物が少ないんだな」

「もしかしてぬいぐるみとかたくさん飾るタイプとでも思った?」

 見透かしたような言葉を続ける。

「思いました」

「そういうのは趣味じゃないんだ。かわいいとは思うけど。でも、一つだけ持っているの」
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