ドラゴンの鍛冶屋

人間の村。

さて、岩ドラゴンの山を出発したエミィ。

山を降り、東にある人間の村までは、ずいぶん長い道のりです。

「こんにちは」

「こんにちは」

道を歩くエミィは、そこですれ違う人たちに、笑顔であいさつをしました。

…しかし、道を行く人たちは、だれ一人、エミィに返事をしてくれません。

「どうして、みんなあいさつをしてくれないんだろう」

「それは、みんなの心が苦しんでいるからだよ」

だれかが、エミィにそう言いました。
声がした方を見ると、そこには一人の若い人間の男が立っていました。

「どうしてみんな、苦しんでるの?」

エミィが話しかけると、若い男の人は、悲しそうにため息をつきました。

「東の村で、戦争が始まったんだよ。それで、みんなは村からにげているんだ」
それを聞いたエミィは、こまってしまいました。
東の村の鍛冶屋さんも、みんなといっしょににげてしまったら、かんむりを直してもらう事ができません。

少し考えこんだエミィは、クルリと男の人にふりむきました。

「ありがとう、お兄ちゃん。わたし、東の村に行かなくちゃ」

ペコリとおじぎをすると、エミィは東の村への道を歩き始めました。
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