ドラゴンの鍛冶屋
「およびですか?ご主人さま~」

けむりの中から出てきたのは、人間でした。
…でも、足がありません。
ドラゴンばあさんが手に持っている指輪から、その人間は生えていました。

「ああ、いいかい?今日からお前のご主人は、私じゃなくてドラゴン姫だ。あいさつしなさい」

そういうと、ドラゴンばあさんは、その指輪を姫の手に乗せました。

「はじめまして、新しいご主人さま。ワタクシ、指輪の精で、名前を「グニール」と申します」

指輪の精は、姫の手の上で、ぎょうぎ良くあいさつしました。

「はじめまして。よろしくね、指輪の精さん」

そういうと、姫はその指輪を、ちっちゃな指にはめました。

「姫や、姫や。人間のむらに行ったら、けっして自分を「ドラゴン姫」と言ってはいけませんよ?」

ドラゴン妃が、心配そうに姫のもとにやってきました。

「はい、おかあさま」

「そうね、名前がないと困るから…自分の名前を「エミィ」ってお呼びなさい」
「わかったわ、エミィね!」

姫は、エミィという名前を大変気に入りました。

「それでは、姫…いや、エミィよ。かんむりをたのんだぞ」

こうして、エミィはみんなに見送られて、旅立ちました。
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