言葉にできない。

「帰ってください、橘さん。君がいたら邪魔なんだ。」


唇を噛んだその女性は、クルリと踵を返し走り去った。


「な・・・なんなの、コレ。あいつ、千鳥さんのこと」

「聡太ちゃん、お願いだから何も聞かないで。
今はそっとしておいて。」


うめがそう言うとため息を吐いて和久井は階段を昇っていった。




< 157 / 238 >

この作品をシェア

pagetop