言葉にできない。

「ちー?出ておいで。俺だよ。」


そう声をかけても部屋の中はしんと静まり返っていた。


「ちー、ごめんね。仕事の話をしてたんだ。
もう出てきていいんだよ。
俺はちーしか見てないよ。他の誰も要らないんだ。
だから顔を見せて。」


そうゆっくりと言うと。


カチリと鍵の開く音がした。


「ちー、開けるよ?」

断りを入れてから開こうとして振り向く。

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